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2012年11月 の記事一覧

郷土玩具の会レポート 『蘇民将来』

こんにちは、張り子作家、林史恵です。今日は月に一度の郷土玩具の例会でした。テーマは蘇民将来。
多くの蘇民将来符をコレクションしていらっしゃる、会員の岩見徹氏が講演してくださいました。
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●蘇民将来符とは

日本各地の国津神(くにつかみ)系の神を祀る神社の縁日で、参拝者に授ける護符です。

●蘇民将来符のいわれ(※諸説あります)

蘇民将来という情深い人が、彼の兄、巨丹(こたん)長者に拒絶された旅人たちに宿をかしました。その後、蘇民将来の一族は、後に再訪した旅人の言葉に従い、柳の木に「蘇民将来子孫人也」と書き、これを携帯し、門戸にかかげました。そのおかげで蘇民将来の子々孫々まで災害を免れ、繁栄したという逸話があります。

実は、この旅人は薬師如来の化身である牛頭(ごず)天王という神だったのです。


●広まっていった蘇民将来の習慣
奈良時代からこの信仰は広まり、薬師如来や牛頭天王を祭った各地の社寺では「蘇民将来子孫門戸也」と書いた紙札、板のお守りなどが出されましたが、現在まで伝わっているものは極めて少ないです。


●現在も行われている、社寺での蘇民将来の授与
蘇民将来符の多くは、一年に一度、それぞれの社寺で決まっている日にちに、参拝客に授与されます。それを手に入れるためには、前日から並ばなければならないケースが多いそうです。

ここからは、岩見徹氏の汗と涙の結晶をご紹介いたします!!!


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上の写真は、信濃国分寺八日堂(長野県上田市)の蘇民将来。毎年1月8日の例大祭に、寺および蘇民講(講という団体。蘇民将来を作る)の方々によって授与されるものです。




民族学的にも貴重で地域的特色も豊かであり、平成12年12月には『上田市八日堂の蘇民将来符頒布習俗』が、『国選択無形民俗文化財』に認定されました。

真田町など周辺町村から切り出した泥柳の木で作られています。六角形のかたちをしているのは、昔はのこぎりがなく、蘇民包丁と呼ばれる特殊なナタやノミ、斧などで成型できるかたちを追求したからといわれています。蘇民講はこれらを器用に用いて六角錐に仕上げていき、墨と朱で文字や模様を描き入れていきます。

文字は、「大福、長者、蘇民、将来、子孫、人也」と六角のそれぞれの面に二字ずつ描き分けられています。

文字が書かれた後、七福神やだるまの絵などを描き、仕上げます。福のある絵が描かれることから、蘇民将来符には縁起的性格もあると言われています。

1月7日に木箱に入れて国分寺に持ち寄り、数などを確認し、その後本尊薬師如来の前に供えて祈祷を受けるのです。寺の蘇民将来符は7日に授与され、蘇民講の蘇民将来符は、8日午前8時、本堂前の参道に仮設テントがはられ、蘇民講の会長の合図で授与されます。


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信濃国分寺八日堂の蘇民将来符には、前の年におこった出来事が描きこまれていることがあるそうです(作者にもよるとのこと)。こちらは1998年、の長野オリンピックが描かれています。

弁天様がフィギュアスケートをしていたり、大黒様がスキーをしていますね。

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こちらは、スサノオノミコトを祀る京都市の八坂神社の蘇民将来符。無病息災の願いも込められているそうです。
吊るせるようになっています。

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こちらは信濃国分寺八日堂の蘇民将来符で”けし”と呼ばれます。、携帯できるよう、2センチ程度の小さな将来符です。


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こちらは三重県伊勢市二見町の松下社の蘇民将来。この板をしめ縄などで飾ってしめ飾りにし、玄関に飾るのです。
左の板、笑門の“笑”は、蘇民将来の“将”の字の当て字です。“門”は、玄関に飾るためです。“将門(まさかど)”と読まれてしまうことを避けるため、“笑門”になったと言われています。

右の板、上部の4つの点は、願い事をしめるという意味があるそうです。


毎年いろいろな地方の蘇民将来符を求めて寒さ暑さも厭わず並ぶ岩見氏。
信濃国分寺八日堂の蘇民将来のために、1月8日の例大祭の前日から並ばれた際は、明け方の四時頃の寒さが特に辛かったとおしゃっていました。
そこまでして集めようとする情熱に、驚かされるばかりです。

貴重な資料とお話、本当にありがとうございました。





参考資料 郷土玩具の例会で配られた資料より

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こちらは私が「紙世ハル(かみよはる)」のペンネームで活動している、張り子の現代アートを扱ったホームページです。
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展覧会『z゛akka③』レポート

こんにちは、張り子作家、林史恵です。
表参道駅から徒歩五分のギャラリー、プロモアルテプロジェクトギャラリーで行われていた展覧会、『z゛akka③』は、10月30日、お陰様で大好評の中終了いたしました。足を運んで下さった皆様、誠にありがとうございます。

参加者であるデザイナーの方々、大変お疲れ様でした。

犬塚デザイン事務所の犬塚達美様が考案、製作した張り子の猫筥(ねこばこ、猫の小物入れ)は、私も製作に協力させていただいておりました。

※犬塚氏の猫筥は以前当ブログにて紹介させていただきました。こちらからご覧ください。

お陰様で張り子の猫筥は期間中に全て完売とのこと、お買い上げ下さった方々、本当に有難うございます。

nekobako (3)


↓行われていた展覧会の情報
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展覧会名『z゛akka③』
●期間10月18日~10月30日 11時~19時(最終日は17時まで)
●場所 PROMO-ARTE(プロモアルテプロジェクトギャラリー)
 東京都渋谷区神宮前5-51-3
 GALERIA2階
 地下鉄表参道駅(銀座線、千代田線、半蔵門線)B4出口より徒歩5分
●電話番号 03-3400-9516
●http://www.promo-arte.com/
●出店者 13人のパッケージデザイナーによる展覧会


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私は初日のオープニングパーティーに参加させていただきました。ブログで紹介させていただくため、写真を撮ろうと思ったのですが、何しろデザイナー様方の魂心の1作が展示される展示会だけあってパーティーは人でいっぱい!!
残念ながら13人の作品全ては撮影しきれませんでしたが、出品作品のいくつかをご紹介させていただきます。


inuzukaya nekobako

こちらは犬塚デザイン事務所の犬塚達美氏の作品、張り子の『猫筥(ねこばこ)』です。
雛道具として使用される「犬筥」につながる、犬塚氏考案の新しい人形です。

猫の姿、生き方にあやかり、美しくしなやかな強靭さを持った人になりたい…なってほしい…との祈りから作られました。
お陰様で張り子の猫筥は期間中に全て完売とのこと、お買い上げ下さった方々、本当に有難うございます。

※犬塚氏の猫筥は以前当ブログにて紹介させていただきました。こちらからご覧ください。

参考資料 『z゛akka③』冊子21ページ



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こちらは松田澄子氏の作品、「モモ・クロック」
子供の頃、ミヒャエル・エンデの「モモ」を読み、「時間」というものの果てしない不思議さにびっくりしたという松田氏。物語の中で人がみな持っているという時間の花のことを思わず考え、制作に至ったのことです。

参考資料 『z゛akka③』冊子69ページ

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こちらは大久保隆氏の作品、「函庭」
京都のお寺の枯山水を、紙と石で見立てたものです。
「枯山水」の庭を紙と石で表現してみる試みは、白い10センチ四方紙小さな庭石を置いて眺めたところから始まったそうです。
小さな世界ながら紙は遠く広がる海を、石は岩や山や海を感じさせてくれたといいます。
何百という組み合わせを試し、たどり着いた作品達。オフィスや書斎におけば、果てしなく広がる自然の美しい景色を身近に感じることが出来るのです。

参考資料 『z゛akka③』冊子27ページ

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こちらは加藤芳夫氏の作品、「ヘラヘラ」
「へらへらしとったらかんやないか」と言われつつ、今日もまたへらへらしてしまう。ところがどうして、役に立ちそうもないのに、実は結構使えるやつだったりして。「おお!結構やるじゃん、面白いだけでなく、ええ仕事するでこいつ」と見直される、そんな美学を実現させた「箆(へら)」です。

参考資料 『z゛akka③』冊子39ページ

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こちらは小川裕子氏の作品、「鋳物テープカッター」
何十年たっても愛着が湧いて、孫の世代に受け継がれてもおしゃれでかっこいい素敵なテープカッターを作りたい。と思ったのが始まりだそうです。
鋳物でありながら何十年たってもおしゃれで素敵なものとして、小山氏が真っ先に浮かんだものが、「足踏みミシン」だったそうです。「足踏みミシン」のように、繊細でありながら重厚感あるデザインをイメージしたのだそうです。

参考資料 『z゛akka③』冊子23ページ


先程も描かせていただきましたが、ブログで紹介させていただくため、写真を撮ろうと思ったのですが、何しろデザイナー様方の懇親の1作が展示される展示会だけあって、初日のオープニングパーティーは人でいっぱい!!
残念ながら13人の作品全ては撮影しきれませんでした。しかし、どの作品も洗練されていて、使えるだけでなく飾っても美しいものばかり。
デザイン界の第一線でご活躍されている方々の作品を間近で見ることができる、素晴らしい展覧会でした。参加されていた方々、本当にお疲れ様でした。


私のホームページです。のぞいてみてください(ノ´∀`*)
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こちらは私が「紙世ハル(かみよはる)」のペンネームで活動している、張り子の現代アートを扱ったホームページです。
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