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郷土玩具の会レポート 『蘇民将来』

こんにちは、張り子作家、林史恵です。今日は月に一度の郷土玩具の例会でした。テーマは蘇民将来。
多くの蘇民将来符をコレクションしていらっしゃる、会員の岩見徹氏が講演してくださいました。
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●蘇民将来符とは

日本各地の国津神(くにつかみ)系の神を祀る神社の縁日で、参拝者に授ける護符です。

●蘇民将来符のいわれ(※諸説あります)

蘇民将来という情深い人が、彼の兄、巨丹(こたん)長者に拒絶された旅人たちに宿をかしました。その後、蘇民将来の一族は、後に再訪した旅人の言葉に従い、柳の木に「蘇民将来子孫人也」と書き、これを携帯し、門戸にかかげました。そのおかげで蘇民将来の子々孫々まで災害を免れ、繁栄したという逸話があります。

実は、この旅人は薬師如来の化身である牛頭(ごず)天王という神だったのです。


●広まっていった蘇民将来の習慣
奈良時代からこの信仰は広まり、薬師如来や牛頭天王を祭った各地の社寺では「蘇民将来子孫門戸也」と書いた紙札、板のお守りなどが出されましたが、現在まで伝わっているものは極めて少ないです。


●現在も行われている、社寺での蘇民将来の授与
蘇民将来符の多くは、一年に一度、それぞれの社寺で決まっている日にちに、参拝客に授与されます。それを手に入れるためには、前日から並ばなければならないケースが多いそうです。

ここからは、岩見徹氏の汗と涙の結晶をご紹介いたします!!!


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上の写真は、信濃国分寺八日堂(長野県上田市)の蘇民将来。毎年1月8日の例大祭に、寺および蘇民講(講という団体。蘇民将来を作る)の方々によって授与されるものです。




民族学的にも貴重で地域的特色も豊かであり、平成12年12月には『上田市八日堂の蘇民将来符頒布習俗』が、『国選択無形民俗文化財』に認定されました。

真田町など周辺町村から切り出した泥柳の木で作られています。六角形のかたちをしているのは、昔はのこぎりがなく、蘇民包丁と呼ばれる特殊なナタやノミ、斧などで成型できるかたちを追求したからといわれています。蘇民講はこれらを器用に用いて六角錐に仕上げていき、墨と朱で文字や模様を描き入れていきます。

文字は、「大福、長者、蘇民、将来、子孫、人也」と六角のそれぞれの面に二字ずつ描き分けられています。

文字が書かれた後、七福神やだるまの絵などを描き、仕上げます。福のある絵が描かれることから、蘇民将来符には縁起的性格もあると言われています。

1月7日に木箱に入れて国分寺に持ち寄り、数などを確認し、その後本尊薬師如来の前に供えて祈祷を受けるのです。寺の蘇民将来符は7日に授与され、蘇民講の蘇民将来符は、8日午前8時、本堂前の参道に仮設テントがはられ、蘇民講の会長の合図で授与されます。


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信濃国分寺八日堂の蘇民将来符には、前の年におこった出来事が描きこまれていることがあるそうです(作者にもよるとのこと)。こちらは1998年、の長野オリンピックが描かれています。

弁天様がフィギュアスケートをしていたり、大黒様がスキーをしていますね。

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こちらは、スサノオノミコトを祀る京都市の八坂神社の蘇民将来符。無病息災の願いも込められているそうです。
吊るせるようになっています。

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こちらは信濃国分寺八日堂の蘇民将来符で”けし”と呼ばれます。、携帯できるよう、2センチ程度の小さな将来符です。


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こちらは三重県伊勢市二見町の松下社の蘇民将来。この板をしめ縄などで飾ってしめ飾りにし、玄関に飾るのです。
左の板、笑門の“笑”は、蘇民将来の“将”の字の当て字です。“門”は、玄関に飾るためです。“将門(まさかど)”と読まれてしまうことを避けるため、“笑門”になったと言われています。

右の板、上部の4つの点は、願い事をしめるという意味があるそうです。


毎年いろいろな地方の蘇民将来符を求めて寒さ暑さも厭わず並ぶ岩見氏。
信濃国分寺八日堂の蘇民将来のために、1月8日の例大祭の前日から並ばれた際は、明け方の四時頃の寒さが特に辛かったとおしゃっていました。
そこまでして集めようとする情熱に、驚かされるばかりです。

貴重な資料とお話、本当にありがとうございました。





参考資料 郷土玩具の例会で配られた資料より

私のホームページです。のぞいてみてください(ノ´∀`*)
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こちらは私が「紙世ハル(かみよはる)」のペンネームで活動している、張り子の現代アートを扱ったホームページです。
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2012.11.14 07:24 まっとめBLOG速報